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野ネコ道③「15の夏、クロ美……」 [野ネコ道]

ネコとは長いこと暮らしていたけれど、
ネコのことを知るようになって、
ああ、私が知っていたネコって
ネコの一面だったのだよなぁと思うようになった。

室内飼いネコは、まさにイエネコなのだけど、
ネコ科のものすごーく特殊なところを凝縮して、
さらに我が家テイストに仕上がった、ネコ科の変わり者。
複雑で個性が強くておもしろい。

でもよりネコって動物に興味が湧いたとき、
もっと距離感をもって眺められる野ネコのほうが、
発見が多いのかもしれないなぁ。
距離が近いと、ヒトは擬人化したがる。
自分に似たところを探そうとする。
似ているからますます好きになれる。
擬人化で親近感がわく。それはそれで楽しくていい。

でも、ネコはヒトじゃない。
擬人化するのと、
ネコが何考えているのか探るのは、まるで違う。

野ネコは、ネコはネコなんだということを教えてくれる。
1歳も過ぎれば、オスはオス、メスはメスとして独り立ちする。
擬似母親となる飼い主がいないから、
子ネコっぽいところを残す余地がない。
都会のネコは餌付けされているので、甘えたちゃんもいるだろう。
でも、基本的に独立せざるを得ない。
その厳しさが、ヒトと野ネコのあいだに距離をつくる。
一線超えられない、見えない壁を通して野ネコを見る。

そういうのがいいなぁと思うこのごろ。

重いカメラを持って出勤した秋のある日。
例の駐車場を通って、会社へ。
このへんネコいたよなぁと、キョロキョロ。
ん? 目の端に何かひっかかる。

駐車場の金網と金網のあいだ。
黒い毛のかたまり?
IMG_1663
お!!!キミはあのときのあのクロネコクロちゃん?
竹橋の野ネコ
トーテムの真ん中のクロちゃん?
トーテムポール cats
近寄りたいのだけど、金網が完全ガード。
上からのぞいてみた。
IMG_1643
そ、その子、おこさんなの???
と、金網に身を乗り出していたら、左側から視線が……
IMG_1650
ああ、キミもいつぞやの!
久しぶり。
いやいや別に危害は加えないですよ。
せっかくカメラ持っているからさ、
ちょっと覗いていただけで……。

思えど、伝えるすべもなく、
再びクロちゃんズに視線を戻す。
大きいクロちゃんは何か危険を感じたのか、
逃げる体勢をとりつつ、こっちを睨んでいた。
IMG_1655
怒っちゃったのかな。
小さいクロちゃんは、というと……
IMG_1651
思いっきりガン飛ばしていた。
すごい迫力。

くんじゃニャーだよ!

擬人化するまでもなく、
確かにそう心に響いてくる眼力だった。

私がトーテムポールのクロちゃんに会ったのが
2011年の8月。
彼女(あ、彼女だったんだね……)、いま1歳半くらいなのかな。
小さいクロちゃんはもう2か月くらいだろうか。

野ネコのメスは10か月前後(ヒトなら12歳くらい)で
性成熟をむかえるらしい。
ということは、最初に訪れた、初夏の繁殖期で
彼女は妊娠したのだろうか。

「15の夏、クロ美、妊娠、そして出産へ!ジャジャーン」

クロ美、としたのは、イメージ。
そういう先輩いたよなぁ。
中3で突然デビューしちゃって、
妊娠して退学しちゃった、
女子校時代のH先輩。お元気ですか?

そんなイメージ。

ライフサイクル、はやい!
けどね、寿命短いんだもの。
半分だからね、飼いネコの半分。
江戸時代の日本人だと思えばしっくりくる。

クロ美の子どもだって、この子しか見かけなかったが、
もしかしたら、ほかにもいるのかもしれない。
いや、いたのかもしれない。

野ネコの子は、まず1年、
この1年を生き延びられるかどうか。
母親譲りの眼力で、ふてぶてしく生き残って、
また睨み顔を撮らせてほしいなぁと思った。
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